第二章

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「……大丈夫?」 そういわれたのは俺。 そう俺。 あーもーショック過ぎて死ねる。 「…ごめん。俺から声かけたのに。」 「そんな日もあるわよ。…最近なんかあった?疲れてるのもあるとは思うけど。」 そう、確かに気乗りはしてなかったけど。 いつもどうりだった…筈なのに。 全然反応しないし…。 でも一人でするときは普通にしていたし。 「…あったといえばあったけど。」 香椎のこと以外思い浮かばない。 「リサってαだったよな?その…オメガのフェロモンって個人差とか感じるか?」 女性でもフェロモンは感じるらしいから聞いてみたいと思った。 「私の意見はあんまり参考にならないわよ。…でもホラ、運命の番っていうのはやっぱり他とは違うんだって。αとΩはフェロモンでお互い惹かれあうけど 運命の番は感じた瞬間抗えないくらい強烈に相手を欲する…って聞いたことあるわ。 私はまだ出会ったことないけどね。」 抗えないくらい強烈…か。 それから俺はずっと考えている。 お互い、発情期とヒートじゃない時に触れあったらどうんだろう。 俺は興奮するのか? 香椎はもうあの時のことを無かったことにして、気持ちの整理もついているんだろうか。 自身に手を伸ばす。 思い出すのはあの時の事。 お互いの呼吸だけが響く室内で 香椎の香りを吸い込みながら、奥を抉る。 そのたびに目尻に涙を溜めて、甘い声を上げる。 達っても達っても繰り返し沸いてくる欲望。 体を震わせながら、俺の下で…。 「…ッはぁッ、くそ…。っく!」 手に吐き出された欲望を見つめる。 もう既に、他では替えがきかないくらい、体は香椎を欲している。 運命の番…俺と香椎が? 確かめたい。だけど…。 「…ヤバいよな、これ。……どーすっかなぁ…。」 アイツもまた俺に触れられたいとか思ったりしているんだろうか。 それとも俺だけがこうして葛藤してるだけなのか。
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