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「………。」
ゆっくり振り返ると
肩で息をしながら、折原が立っていた。
「……何。あ、二次会なら土生と桐山行ったけど。場所聞いてねぇの？」
はぁはぁと、呼吸を整えながら折原は言いにくそうに言う。
「…なんで言わねぇの？笹原にお前」
「なんて言う訳？…男に襲われましたって？
…お前が気にする必要ねぇよ。女の子じゃないんだから。」
もしかして、一応心配してくれたんだろうか。
「男とか女とか関係ねぇだろうが。アイツがしたことは犯罪だぞ。上に報告すれば処分だって。」
「やめろ。」
「ありがたいけど、俺がΩだって時点で確たる証拠がなければ、処分なんてされるわけないだろ。それどころか向こうの言い分によっては結果が変わることだってある。無駄だよ。
……行けよ。待ってんじゃないの皆。」
有難いけれど、そっとしておいてくれる方がいい。
案外優しいとこあんじゃん。ちょっとうれしいとか思ってしまったけどそれはきっと、今自分が弱気になっているせいだ。
「…送ってく。」
「…は？」
「ーーッだから！送ってくって、いってんだよ。」
…顔赤くして
ナニ、こいつ。
こんな奴だったっけ？
弱ってるときにさ、そういう優しさだしてくんなよ。
「あ…あぁ、」
結局なんか断れずに送ってもらうことになったけど。
つーか、こいつと二人で行動するなんて今までなかったから、なんか変な緊張感あるし会話はないし。
だいたい俺のこと嫌いだろ、お前。
「…お前、平気なのか、その。」
「あぁ、途中で運よく逃げれたからな。まぁこういう席でもなければ普段は関わりないだろうし。」
そして…沈黙。
そうなるよなー。普段どんな話してるとかわかんねーし…。
「つ、付き合うのか？相手、水瀬さん、だろ。」
「……え！？」
え、俺わかりやすいか？
水瀬さんって言ってない筈なのに。
てゆーか聞いてたんだな、話。
「…いやなんとなく。あの人お前によく構ってるし。」
「あー、そ、うだよな…いや、まだ考えてない、けど。」
「………。」
「お前さ、
…いや、なんでもない。」
なんなんだよ、途中で辞められると気になるだろ。
それからは俺のマンションまで終始無言。
無言で大人の男二人で並んで歩くって…変じゃね！？
意味がわからん。
折原はなんか考えてるっぽかったから俺からもなんか話しにくい感じだったし。
「あ、ここ。ここの三階なんだよ。悪いな。
お前はどうすんの？二次会戻る？」
「……いや戻らない。」
「……。」
あ、そう。
え？コレ上がってく？とか言った方がいいのか？
いや、でもお互い本意じゃないにしても一度肉体関係持っているし。
しかも別に仲いい訳じゃないし。
「香椎さ、……俺とさ、もう一回ヤってみねぇ？」
「………。」
今、なんて言ったこいつ。
……ヤる？
「は？お、お前…」
ガシガシと頭を掻きながら、
「…その、別にお前のこと狙ってるとかそんなんじゃないんだけどさ。
お前発情した時あんじゃん。俺もヒート起こした時の。
俺基本的に発情期のΩを前にしても理性なくしたこと無いんだよ。しかも抑制剤も服用してて。
…なんつーか、体の相性もあり得ないくらい良かったし。
だからもう一度だけ試したい。」
それ、今言うことかよ…。
体の相性！？
なんだソレ。
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