第四章

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運命の番ってのに拘る必要はないんじゃないか? 香椎に言われた言葉はその通りだと思う。 お互いに惹かれあう…けれど実際香椎はどうだ? 俺のフェロモンに反応しているのもΩなら誰でもそうだと言っているように聞こえた。 香椎のマンションを出てから、ずっと考えている。 俺は疑念を持ってアイツと接していくうちに、二度目の行為で確信に変わった。 アイツは他の奴とは違う。 俺の運命の番だ。 嫌いだった筈なのに。 きっと初めて見た時から惹かれていたのかもしれない。 「なぁ、桐山。ちょっと相談なんだけど。」 「あ?何?あ、もしかしてコンパ?」 「ちげーよ。…お前ってさ、こう、難しい相手落としに行った事とかないの?」 こいつもモテるのは知っている。 お調子者だしチャラいけど、ちゃんと相手を見て接し方も変えている。 営業してるくらいだから対人スキルは人並み以上だし。 「恋愛で?」 「そう。」 「それって脈ありの感じ?」 「…いや、ないな。」 「……行かないね、俺は。何にせよ相手には自分が魅力的って映らないってことだろ?それか向こうに好きな相手がいるか。え、気になる子でもできたのか?」 少し驚いたように俺を見る。 「悪いかよ。少し気になってるだけ。相手は俺のこと眼中なしっていうか、そういう対象としては考えてないみたいだけど。」 「…それって、さぁ最近遊ぶのを辞めたのと関係してる?」 「……。」 遊ぶのを辞めたというか、できなかったんだよ!とは言えないし。 「向こうには…苦手だと、言われた。」 「そりゃ、またハッキリと言われたねぇ、、、…ふぅん。そっか。 まーでもなんとも思われてないよりはいいんじゃん? 一番怖いのは無関心っていうしな。苦手な人っていうので折原がその人の中に印象ついてるなら、それを変えて言ったらいいんじゃん? ま、良い人、で終わらないように頑張れ。」 無関心…か。 「そうだな…。でもいきなりこう…苦手な奴が馴れ馴れしく話かけても変じゃないか?」 今までは自分からそこまで誰かと仲良くなろうなんて思わなかった。 飲みに行こうとか、今日どう?とかその程度の会話しか…。 「でもなんか行動起こさないと変わらないと思うけど。挨拶でもいいし、良い天気だねとか休みは何してるとか…。少しづつ会話を増やしてお互いを知っていけばいいんじゃね? …お前さ、遊んでるけどちゃんとした恋愛したことねーもんな。」 ケラケラ笑っているけど、確かにその通りだ。 αということで寄ってくることも多かったし自分の容姿は自惚れにならない程度にはどういう風に見られているか自覚もしている。
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