第五章

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その後は食事に行って、家まで送ってもらった。 「きょ、今日はありがとうございました。休みの日に外出、久しぶりにしたんで新鮮でした。」 普段は首輪もしてるし、ジロジロ見られるのが嫌であまり外出しない俺にとっては新鮮で、楽しかった。 水瀬さんの方が目立つ外見しているから別の意味で注目はされるけど。 「そ?喜んでくれてよかった。」 本当に同性から見てもかっこいいなんてずるいよな。 「…送ってくれてありがとうございました。」 「香椎。」 そっと手を頭に回される。 触れるだけのキス、 そして 「もう少し、していい?」 そう言ったあと、今度はさっきより強く唇が合わさる。 一瞬びっくりしてピクッと自分の肩は跳ねた。 「…ッん。」 間から入ってきた舌は優しく俺の舌と絡まる。 …なんて優しいキス、なんだろう。 「…香椎、可愛い。」 頭がボーッとふわふわしている。 …同じキスでも折原のキスとは違う。 ふとそう思ってしまって、なんとなく水瀬さんに申し訳ない気持ちになる。 「じゃ、また週明けね。」 そのまま別れて、俺は自分のマンションに帰った。 水瀬さんといると安心する。 勿論キスしたりするとドキドキもする。 でもなんだろう。 自分の中で何かが納得できていないようなそんな気持ちになる。 俺がΩだというせいなのか同性に生理的嫌悪感はない。 …あの笹原ってやつは例外だけど。
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