第六章

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次の日は予想通り香椎は会社を休んだ。 土生や桐山も心配しているようで、仕事終わりに行ってみると言っていた。 「…でも意外だったなー。折原がさ、前までなら絶対行かないっしょ?最近なんか香椎に構うよね。」 桐山が唐突に聞いてきた。 「………。」 土生の視線を感じる。 こいつ、少し前からなんかいろいろ気づいてるっつーか思うことあるんだろうけど…。 「別に、仕事のついで。」 「ふぅん、あ、そうそう来週受付の子が一緒に飲みませんかって。最近俺たちからお誘いないからって向こうから言われたけど…。」 「あぁ、俺パス。」 俺が断るって分かっててわざと話持ってくるあたり、桐山もなんか気づいてんのかもしれないけど。 「…ま、いいや。お前が今何も俺たちに言わないって事はまだお前の中で答えが出てないんだろ。 話してくれるのを待つよ。最近なんか考えてるなって感じること多いし。」 やっぱりか…。気づいてて、あえて気づかないふりをしてくれていたんだろう。 「…あぁ、」 自分の気持ちは、答えが見つかりつつある。 その前に…しないといけないことがある。
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