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「さっきの、ホントだよな?冗談、とかじゃない?」
照れて真っ赤になっていたくせに、その話を蒸し返さないでほしい。
「っだ、だから…本当だって。」
距離が近くなって、顔が見れない。
「じゃ、……キス、して?」
「…は、?」
「だって、俺見たんだよね。水瀬さんと前キスしてるトコ。…思い出したら腹立ってきた。
香椎から、してほしい、んだけど。」
「ここで?」
「そう。カーテン引いてるからわからないよ。」
っていうか水瀬さんとキスって…いつの事だろ。…見られていたなんて知らなかった。
……お、俺から?
でも、ここまできて出来ないとは言えない。
「……わ、わかった・・・けど、眼、つむって…ほしい。」
「ん。」
えっと、ふ、普通のでいいんだよな?
静かに目を閉じた折原に近づく。
こいつ、ホントに整った顔、してる。
しかもいい匂いする。
匂いに引き寄せられるようにベッドに手をついて、唇を合わせた。
時間にして1-2秒くらいなのに、永く感じて。
離れようと手に力を込めた時、頭を後ろから押さえられて深く唇が合わさる。
「んーッ。」
ぬるり、と舌が入ってきて、眼を開けると、折原と眼が合う。
それだけで体の芯が熱を持つようだ。
折原は俺から視線を外すことなく、そのままキスを続ける。
…これ、恥ずかしすぎる、んだけど。
やっと唇が離れたときは、息が荒くなっていた。
「あー…なんか…。」
そのまま折原に抱きしめられる形となって、俺はされるがまま、右手に触れないように折原の肩に顎を置いた。
「な…何。」
背中に回された左手が熱い。
「…実感してたとこ。香椎が俺を選んでくれたって。
キス以上もしたいけど…我慢する。」
「……ばか。」
こんな何気ないやり取りが、また出来てうれしいなんて。
本当に俺はどうかしている。
それから水瀬さんに連絡を入れて、折原の容態を伝えた。
夕方には土生も桐山も顔を出した。
「ま、大したことなくてよかったよ。な?香椎。」
「俺香椎があんなに取り乱してたとこ初めてみたし。…で?二人は俺らに報告することないわけ?」
「そ、それは…。」
そう、だよな。
協力っていうかいろいろ相談したり背中押してくれたり…なんてお礼をいっていいか分からない。
報告って…恋人っていう言い方って恥ずかしすぎないか?
「おまえらなー…。
まぁでも…感謝してる。俺もうダメだと思ってたし。
その…俺ら、付き合うことになった。
俺は香椎と番になりたいって思ってる。」
「………っ。」
実際付き合ってみて、もしかしてダメになる可能性とかもあると思うけど。
折原のこのまっすぐな言葉は嘘には聞こえなかった。
「…とてもケンカばっかりしてた二人には見えないね。ある意味惹かれあってたのかもしれないけどさ。俺たちにはαとΩのことはわからない。けどさ二人のことは祝福するよ。」
土生がうれしそうに話してくれた。
「…うん。ありがとう。」
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