第八章

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「…うちに、くればいいじゃん。」 考えるより先に、言葉を発していた。 「俺も次で問題なければ完治だし、…家で仕事してもいいし、発情した時一人じゃキツイだろ。」 なんだかんだ理由をつけるけれど、本当は俺が香椎と居たいだけ。 「や、なんていうか一人だったら多分ちゃんと抑制出来る…し。お前のフェロモンを感じると…こう求める欲求が強まるっていうか…。近くにいた方が症状が出やすい気はして。 …お前だって仕事終わって発情した俺がいたら休めないだろ。」 ーーーはぁ。こいつ絶っ対分かってないよな。俺が今も今までも、どんだけ我慢してて、どんだけ触れたいかなんて。 「…俺は、お前と一緒にいたいんだけどダメ?」 我ながら恥ずかしい事を言っている自覚はある。 なんていうかこんな甘々な言葉をいう日が来るなんて。 「だ、ダメじゃないけど、その。」 「何。」 「…そ、それはつまり、そーゆーことするって事、だよな?」 「そうだけど。」 そういうと香椎は黙り込んでしまった。 もしかして、嫌、、、とか。 「べ、別に無理はしなくてもいいけど。俺はそうしたいってだけで強要はするつもりないし。」 「ちがっ!…そうじゃなくて…というか二回ともさ、勢いに任せてした部分があるからさ。いざってなると…緊張するし、しかも発情して理性とかなくしてしまいそうで怖いなって思ったから。」 最初の時のことがずっと残っているんだろう。 香椎にとったら負い目になる思い出なのかもしれないけれど、俺にとっては俺と香椎をつないでくれた出来事だし。 それに理性をなくして俺を求めてくれるって言うのは俺からしたらうれしくない訳ないのに。 「香椎は考えすぎ。たまにはさ、あれこれ考えずに、自分思うまま行動したり言ったりしていいんじゃん?それに正直俺も限界だし。 俺が香椎とこんなに近くで生活してて、何も感じてないと、思う?」 もうさ、近づきたくて抱きたくて堪んないのに。 だけど怪我してるし、触れると優しく出来る自信もないから。 「お、俺だって折原と近くにいて何も感じてない訳じゃない。 だけど、その…俺男だし、なんてゆーか…こう。」 言葉を探すように言おうか迷っている。 ちゃんと言葉で何を考えて感じているか聞きたい。 「その…ひ、引かれたりしたらとか…思って。」 ………。 引く?なんで? 「…え?ごめん。意味が、よくわからないんだけど。」 「だから!お前はずっと女の子とそういうことしてきただろ?そのヒート起こしたりしてぶっ飛んでるときは気にならなかったかもしれないけど…同じ男の声とか体だし、その…。」 「香椎って………。っっっはぁーーー!もぉぉぉ。ムカついてきた。」
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