第九章

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インターフォンを鳴らすと、折原が出てきた。 「お疲れ。仕事、持ち帰れた?」 「あぁ、うん。そんなに量はないよ。…良かったな。完治して。」 「まぁ利き手使えないってかなりストレスだったわ。」 なんやかんや仕事の話をしながらご飯を食べて風呂に入る。 まだ、発情期の症状は出ていない。 抑制剤は量を増やさず、いつも通りの量を服用している。 俺が風呂から出ると、入れ違いで折原が入った。 …凄い自然体でいたけど、これからする…んだよな。 やばい、緊張してきた。 時計の音と、浴室から聞こえるシャワーの音だけが自分の耳に響いている。 落ち着かなくて、ベッドに腰かけて水を飲む。 「…どうかした?」 急に声を掛けられて肩が跳ねた。 振り返ると首にタオルをかけてガシガシ拭いている折原の姿。 「…や、べつに。どうもしない…。」 普通にしようと思っても、明らかに動揺してるし緊張しているのはバレているだろう。 「はは、気張り過ぎ。」 チュッとおでこに唇が触れた。 「大丈夫。怖くなったり、痛かったり嫌だったら教えて。」 鼻と鼻をくっつけて、至近距離で囁くように言われると、それだけで体が熱を持つ。 いい…匂い。 どちらからともなく唇を寄せ合って、ゆっくりキスをする。 優しいキスは気持ちよくて、時々腰に来る刺激が甘く疼いた。 そのまま耳や首筋、鎖骨と段々唇が下りてくる。 「怖くない?」 いっぱいいっぱいな俺は頷くことしかできなくて。 強張る体の緊張を取るように、折原の唇が胸に触れた。 「っ…ッく。」 舌で強弱をつけて触れられると、自分の意志に反して体が跳ねる。 気持ちイイ。 俺も折原に触れたいって自然に思えて、両手を首に回した。 「…それ、うれしいかも。」 ニッと少年みたいに笑うこいつが愛しいって思えた。 「俺も…触ってもいい?」 「あぁ。」 手を伸ばすと俺と同じように欲望を膨らませているモノに触れた。 熱くて溶けそう…。 ゆるゆると刺激すると、折原の息が荒くなる。 「はっ…ソレ、イイ。もっと、動かして。…俺も、触るな。」 手が…折原の手が俺の下へ伸びる。 自分の欲望が形になっているのがバレて恥ずかしい。 でも今は恥ずかしいよりも、キモチ良さが勝っている。 「ッん…ッっ。」 「香椎、ちょっと手…離して?」 先ほどよりも硬度を増したソレから手を離すと、折原が俺に覆いかぶさってきた。 そのまま腰を俺に押し当てると、折原のモノと俺のモノが擦れる。 「あ…ッ。」 その体勢でお互いのモノが擦れ合うように折原が動く。 どちらのモノかはわからないけど先走りでぬるぬるしていて、手でされるのとは違う気持ちよさがあった。 「はっ…これ…キモチいいな。」 優しく、でも男らしい折原の表情に俺の心臓はドキドキしっぱなしだ。 そのまま動きは段々激しくなってくる。 ヤバい…このままイッてしまいそう。 「あっ…ちょ、っちょ…で…でそうッ。」 そういうと折原が腰の動きを止めた。
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