第九章

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ドロッと出たものは折原の出したモノだけじゃなくて、αを受け入れるための愛液だろう。 「すげ…溢れてくる。」 「ちょ、んなとこ…見んな。」 凝視されていることに気づいて、急に恥ずかしくなる。 体を起こして、向かい合う体勢になると、 ちゅっと、キスをされた。 「ん、」 そのまま舌を絡めて、キスしながら見つめあう。 もう見なくても自分のモノが勃ってるのがわかる。 それだけじゃない。 後ろも疼いて、このαは欲しいって体が求めてる。 俺の心も…理屈じゃなく本能で折原が欲しいって。 これが運命って事なのか? もう、俺たちの間に言葉はいらなかった。 何度も何度も、求めて求められて。 イキ過ぎて段々頭がぼんやりとしてきた。 …番、折原は番になりたいって言っていた。 俺の気持ちを待つって。 行為の最中、俺は自分の首輪に手を掛けた。 解錠しようと両手で触れたとき、折原の手が伸びてきた。 驚いて視線を向けると、折原が笑っている。 「……。」 意図が分からなくて、じっと見ていると、 「気持ちはうれしいけど、焦ってほしくない。…いつまででも待てるから。 …愛してるよ、香椎。」 はっきりと言われた言葉に、視界がぼやけてきた。 ったく、こいつ…イケメンすぎ。 まだこの先のこと、俺が不安に思っているのを折原は分かってるんだ。 「……ばーか。悔しいけど俺もだよ。」 そのあとは意識が飛ぶまで揺さぶられた。 「・・・・え、何コレ。」 次の日の朝。 目の前に置かれた四角い箱。 「え、何って、見たまんまだけど。」 恐る恐る箱を開けると、予想通り指輪だし。 「ほら、番にはなってないけど、今後なるっていうことで…なんつーの?いずれ結婚もするわけだし、じゃ婚約ってことでさ。 受け取ってほしいんだけど。」 シンプルなデザインの指輪をそっとはめられた。 …こ、婚約って…。確かにそうなるんだろうけど。 しかもサイズピッタリだし。 「こ…これ、でも折原は。」 「大丈夫、ペアだから。コレさ、結婚指輪と二連になるリングなんだよ。 だから結婚したら、今の上にもう一つつけよう。」 嬉しそうに話すこいつの顔見てたら、こーゆーのも悪くないなって思う。 誰かと付き合ってても指輪とかつけてんの見た事なかったし、なんかちょっと驚いた。 「あ…ありがと。 でも!その…け、結婚の時の指輪は俺に買わせろよな。」 「え、なんで?」 「俺だって男なの。好きな相手に送りたいじゃん。それにこういう大事なモンはお互いで送りあった方が…大事にできそうじゃん。」 誰かに贈り物なんてしたことないけど、折原には俺からも何かしたいって思うから。 大事なことは二人でしたい。
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