第一章

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スケジュールを見ると、前回からちょうど3か月くらいだった。 嫌な汗が背中を伝う。 今まで発情は抑えられていたけど、怖い。 とりあえずαに近づかない方がいいに決まっている。 急いで席を立ち鞄を持とうとした瞬間…… 体全体がドクン、と脈を打った。 血液の量が増えて体を駆け巡っているような…この感じは、間違いなく最初に迎えた発情期と同じだ…。 ヤバい…思わず座り込み、鞄をつかんだまま膝をついて這うように進む。 その刺激だけでも、中心はズボンを押し上げている。 この時間だともう会社の人間はいないだろう…電話をかけるか? 土生に連絡しないと…。スマホを出すがうまく操作できない。 予備の抑制剤も力が入らず出すことすらできない。 体が震える。 後ろも濡れているような感覚がある。 怖い…自分はどうなってしまうのか…。 「…ッん、…はぁ・・・ッっ、」 全身性感帯になったように敏感になっている。 くそ…スマホの画面をなんとか操作していると、 「…すげぇ、これ」 部屋の入口で折原の声がした。 もうこれ以上ないくらい危険信号が頭の中で点滅している。 大丈夫、αもヒート抑制剤を飲んでいるんだ。 頼みたくはなかったが土生に連絡を取ってもらうのが最善の方法だ。 「…発情…してんの?」 いつのまにか俺の背後から聞こえた声は少しかすれていた。 発情しているせいかいつもは感じないαのフェロモンにくらくらする。 「連絡…土生…に。」 スマホを差し出したはずなのに、スマホは俺の横に転がっていて…俺を跨ぐように折原が膝をついている。 「すげぇ、…いい匂い。たまんねぇ…何、これ」 首筋を嗅ぐように顔を近づけてくる。 …もしかしてヒート? 折原の眼はぎらついていて、中心部もズボンがはち切れそうなくらい押し上げている。 ……嘘だろ。 もう絶望感が半端ない。 抵抗しようにも力が入らない。気持ちとは裏腹に体は熱を放出したがっていてどこをさわられても敏感に反応してしまう。 「ここ…すげぇ濡れてる。」 首元に鼻を寄せられながら、ズボンを引き抜かれ中心部を触られると、出したくもないのに甘い声が出てしまう。 「ッあっ…んんっ…で…でそう・・・ッ。!」 ゆるゆると扱かれてあっという間に達してしまった。 はぁはぁと息を整えながらもまだぎりぎり理性は保てている。
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