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中学も二年生に進級した春先、周りを見渡すと桜の花があちこち満開に咲いていた。
ガチャ………
『んじゃ、行って来ます。』
学ランの結城が鞄を持ち自宅の玄関を開け学校に登校しようとしていた。
ガチャ………
『行って来ま〜す………あっ、我がお兄ちゃんの結城君、おはよう。一緒に学校行こう。』
隣の家の玄関が開きセーラー服姿の中瀬が出て来た。
結城は中瀬の言葉に笑い
『我が妹の中瀬さん、一緒に行こうか。』
……………
学校に登校途中二人は榎戸商店街を歩いていた。
中瀬は結城の左側を歩きながら
『そう言えば昨日の数学の宿題やって来た?』
結城はあくびをしながら
『ファ〜〜〜、宿題?やったよ。20問の問題の中で15問目の問題がわからなかった。』
中瀬はあくびをしている結城を見て笑いながら
『あくびしてるし………そこはわかったよ。後で教えてあげる。私は17問目の問題がわからなかったよ。』
結城も笑って
『それならノート見せ合いしようか。』
中瀬は
『もちろん賛成。』
結城は照れながら
『中瀬さん、今週の日曜日は空いてる?』
中瀬は笑顔で
『空いてるよ。どっか連れて行ってくれるの?』
結城は
『茂原公園に桜でも見に行かないか?』
中瀬は結城の言葉に笑顔で
『うん、もちろん行く〜。』
結城は
『それじゃ決まりだね。』
中瀬は
『そう言えば今週の日曜日って雨予報じゃなかったっけ? 雨が降らなきゃいいんだけどな。』
結城は
『その時はもちろん中止にして家でのんびりと………』
中瀬は
『え〜〜〜、中止で家でのんびりなの?それならアスモに付き合ってよ。』
アスモとは茂原市に今でもある大型ショッピングモールで、この頃はスケート場があった。スケート場が潰れた後は映画館になり、いま現在は映画館もない。ただし大型店舗は健在。
結城は
『アスモ行って何をやるんだよ?』
中瀬は
『良いじゃん、付き合ってよ。』
結城は笑って冗談まじりに
『面倒くせぇ………』
中瀬は頬を膨らませて
『面倒くせぇって………ひど〜い。いいよ〜だ。それなら一人で行って誰かに声かけられたらついていっちゃうから………』
結城は中瀬の言葉に慌てて
『一人って………そんな怖い事言うんじゃないよ。』
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