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大門は
『それがホテル関係者ではなく、通報してから名前を言わず電話を切ったそうです。』
結城は
『どこの電話で?』
大門は
『携帯電話だったらしいのですが、非通知だったそうです。』
結城は事件の報告書をテーブルの上に置くと、その報告書を敬子が手に取り確認すると
『山本 一生、38才、って………中学校の時の同級生なんだけど………』
結城は
『それ、間違いない?』
敬子は
『うん、間違いないよ。』
『早坂 小百合さんを釈放してもいいんじゃないか?結城と奥さんを信用してさ。それに逃走する可能性も低いし、嘘もついてる様にも見えないし。』
鑑識課に、結城の元上司、捜査一課の刑事長渡瀬 哲也が入ってきた。
結城は会釈し
『ご無沙汰してすみません。ありがとうございます。』
渡瀬は笑って
『お前の知り合いだし、俺は信用するぞ。』
結城は渡瀬に
『ありがとうございます。』
渡瀬は笑顔で小百合に
『ただ、しないとは思うが逃走したり、これからまた聞く事があると思うが、嘘をついたり疑われる事をしないと約束をしてくれるかな?』
小百合は渡瀬を見て
『はい、もちろん逃げる事も嘘をつく事もしません。』
渡瀬は結城に真剣な表情で
『結城、大切な友達が犯人に仕立て上げられた………必ず犯人を突き止めろ。もちろん捜査一課も協力する。何かあれば大門に頼め。実は、今捜査一課はある事件を追ってて人手が足りなくてな………。結城、この事件はお前に任せるぞ。』
結城は渡瀬に
『わかりました、お任せ下さい………と言いたいのですが………』
結城は敬子を見て
『いいのか?』
小百合も不安そうに敬子の言葉を待ち
敬子は結城に
『駄目って言ったら隠れて捜査するでしょ?大切な小百合の為だよ。私からもお願いして良い?』
小百合は敬子の言葉に喜び
『お敬、ありがとう。』
敬子は小百合に向かってにっこり笑った。
結城は
『渡瀬さん、必ず犯人を突き止めてきます。』
渡瀬は
『よろしく頼むな………』
大門は
『先輩、これは殺害された山本一生の個人情報と、防犯カメラの映像です。死亡推定時刻が4時から4時30分の間です。』
結城は大門から受け取り
『山本一生の自宅に行ってみたいな。』
……………
夜22時
鴨川警察署、駐車場。
小百合は敬子と結城に頭を下げ
『迷惑かけてごめん………』
敬子は
『どうしたの?私達は迷惑だなんて思ってないよ。』
小百合は
『結城君が捜査って、約束したのに………』
小百合は泣きながら言った。
結城は笑って
『解決したらホテルのディナーに招待な。敬子に内緒で俺だけ。』
敬子も笑って
『純君、それはマズイでしょ?って、内緒になってないじゃん。』
小百合は二人のやり取りに笑った。
『私の為にありがとう………』
結城は
『一度事務所に戻って作戦会議をしよう。』
敬子は
『そうだね。もう遅いから小百合を自宅に送ってからね。』
小百合は
『私も一緒に行って良い?凄く怖いの………』
小百合の身体は震えていた。
結城は
『敬子、早坂さんを暫くうちに泊まってもらうか?犯人に顔を見られてるし、狙われる可能性も………』
敬子は
『そうね。小百合、暫くうちに泊まる?』
小百合は
『結城君とお敬が良いなら………』
結城は
『よし、決まりだ………』
結城達は太海にハンドルを向けた。
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