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ゴールデンウィークも終わり少しずつ気温が上がってくる季節の五月半ばの昼下がり、便利屋純一郎の事務所では仕事が早く片づき、結城と中瀬はソファーに座り、敬子はパソコンで事務仕事をしながら机の真横にベビーベッドを置き、そのベビーベッドに一人娘の華蓮が気持ち良く寝ていた。
結城はソファーに座りくつろぎながら
『いや〜、この暖かさは眠くなってくるよ。』
中瀬は
『今日はまさかこんな早く仕事が終わると思わなかったもんね。』
敬子はパソコンから手を離し伸びをしながら
『んんん〜………本当眠くなってくるね。私も今日はこれで終わりにしちゃおうっと。』
結城は
『無性にかき氷が食べたくなったな。この辺りでかき氷を出すお店はないのかな?』
敬子はパソコンの起動を落とし
『かき氷か〜、私も食べた〜い。』
中瀬は
『居酒屋大将にはないよな〜。まるやまは?』
敬子は
『それなら、イオンの上にある喫茶店は?』
結城は
『イオンの喫茶店か〜、あるかもしれないね。』
中瀬は
『今日行くの?』
結城は
『今から行くか?』
敬子は
『今からイオンに行ってかき氷を食べるなら、この近くの酒屋に行って氷買ってきてうちで作った方が安上がりだよ。』
結城は
『そういえばかき氷機あるもんね。商業用だけど。』
中瀬は
『商業用のかき氷機って?』
結城は
『たまに夏休み期間中に祭りでかき氷を作ってくれって依頼がくるんだよ。』
中瀬は
『そんな依頼まで来るんだ………』
結城は
『かき氷機を出してかき氷作ろうか。近くの酒屋で、氷とシロップ買ってくれば形にはなるだろ。』
敬子は
『時期的にシロップ売ってるのかな?』
結城は
『確かに微妙だね………』
中瀬は
『今、私が見てくるよ。あれば買ってくるね。』
結城は財布を出して中瀬にお金を渡し
『それじゃこれで買ってきてよ。シロップはメロンで。』
中瀬は結城からお金を受け取り立ち上がり
『らじゃー。』
敬子は
『シロップがメロンって………やっぱりイチゴだよ〜。』
結城は
『イチゴって………やっぱりメロンだって。敬子は何を言ってるんだよ。』
敬子は結城の側に来て
『純君こそ何を言ってるの?わかってないな。普通はイチゴだからね。』
結城は敬子の対面に立ち
『わかってないのはどっちだよ。イチゴを選ぶなんて敬子は幼いな。』
敬子は正面の結城に強い口調で
『何ですって………メロンを選んだ純君の方がお子様じゃん。本当にわからずやだよね。』
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