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「実は、父はこの馬に思い入れがあるようで、父は精根込めてこの馬を育てていました。
私も父を手伝ってこの馬をここまで育てました。
私は、この馬のことが心配で、ここ滋賀までついて来てしまいました。」
涼風さんは、ついさっきまでの笑顔とはうらはらに、神妙な面持ちで話してくれた。
「水瀬さん、ぜひこの馬で優勝してください。」
いきなりのプレッシャーで、僕は責任の重さを感じたが、やるしかないという思いで、
「僕はまだ経験が少なくて、どこまでやれるかわかりませんが精一杯頑張ります。」
と自分の決意を話した。
僕はスズカゼプリンスとはじめてタックを組むため、翌日から菊花賞までの間、調教を兼ねて乗らせてもらうことになった。
スズカゼプリンスに騎乗してみると、僕の指示通りに忠実に動いてくれる頭の良い馬だということがわかった。
また瞬発力に優れていて、走りは力強く加速が優れていることがわかった。
僕はすばらしい馬に出会えたと感じた。
(この素晴らしい馬なら優勝も夢ではないかもしれない…)
僕は純粋にそう感じた。
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