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区画編_連行
足にケガをした私は、ケガの原因の二つあるうちの一つである何者かに担がれていた。
それは、身長158センチで標準体型の私を何とか担いでどこかに運ぼうとしている。
マザーもこうして連れ去られてしまったのだろうか。
そして私もマザーのように帰る事ができなくなるのだろうか。
「お前、どこに行くつもりだったんだ?フェンスなんか昇って」
「うるさいバケモノ!私をどこに連れて行くつもりだ!」
「は?…うざ。ケガして動けないって言ってっから親切に助けてやろうとしてるんだろ!?嫌なら置いてこうか?」
「……。洗って包帯とか巻いたらそれでいいからな。」
「何様なんだよ…。ってかお前、目に何か入ったの?」
「いや。」
「じゃぁ、なんでずっと目ぇつぶってんだよ。」
――そんなの決まってるだろ
「べ…別に私はお前が怖いわけじゃないからな!」
「ふはっ!…ん?お前もしか…。」
――…馬鹿にされた?
「なんだ?」
私は舐められないように自分の声をできる限り低くして言った。
「いや、何でもない。……ここ初めて?」
――お。思ったよりも効果があるようだ!でも、もし…バレたらどうなる?
「そ、そんなわけない!私はここの住人だ!時々ああやって外に遊びに行ってるだけだ!」
「そうか。まぁいーや。とりま、俺んちに行くから。消毒とか包帯とかあると思う。多分。ちょっとグロいケガだしね。大事な用事が台無しだけど。サービスだ。」
それはそう言って、私を自宅に連れ込む気らしい。
ちなみに言っておくが私のケガの原因のもう一つは、私自身の明らかな能力不足である。
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