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『ひぃ…ひぃ…ひぃ』
こんな夢を見た。
黄土色の天井に何かがぶら下がっていた。
それは楕円状でいくつも連なっていて、まるで南国の果物のようにも見える。
色は鮮やかな黄色ではなくて、どちらかというと熟れ過ぎてどす黒くなったような色合いに近い。
濁りきった溝のような紫色で見てるだけで不快に思えるような色合いだった。
動くでもなく、増えるでもなくそれはへばりつくように木板にぶら下がっていて自分は水色の掛け布団を顎の辺りまで被りながらそれをじっと見つめていた。
隣には母親が幼少の頃のように聞きなれたいびきをかいて寝ている。
自分もまた幼児の頃に戻っていて、不思議なことに今は五歳の頃なんだなと薄い布団に横たわりながら考えていた。
件の『それ』はまるで最初から取り付けられていたかのように違和感無くそこにある。
古臭い電灯の横に存在している『それ』は気づくと少し大きくなっているようだ。
最初の頃は両手の拳を合わせたくらいの大きさに見えたそれは今は一回り肥大している。
それと同時に『それ』は音を発していた。
「ひい…、ひい…、ひい…」
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