第十章 魔法国家スフィーニ ―Magic nation of Sufini― 

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「城まで直ぐだし、わざわざ迎えなんて。」 「きちんとご身分を弁えていただきませんと。それにいきなり事前連絡もなく城まで来られても、門番も戸惑うでしょうに、3年ぶりなんですから。 ずいぶん立派になられましたね。姉君様と城を旅立つときはまだ背丈も私の顎まで満たなかったのに」 「…うるさい、口を慎め」 「ぷぷぷ、リーちゃん小っちゃかったんだー。今の私とそうかわらないじゃん」 みんながどっと笑うのでリーディはますます憮然とした。 ステラももちろん笑ったが、少し何かが引っ掛かる。 ―今と全然違う、3年前のリーディ…。 ステラは一瞬想像したが想像すらできなくてそれも止める。しかしながらその引っ掛かりは取れなかったが。 「でも、どうしてセシリオさんは、リーディが戻ってくることを?」 キャロルが静かに問う。 「セシリオは未来予知が得意なんだ。魔法も一瞬時間を止めたりすることか。おかげで俺は、昔っから…」 「…魔法の訓練をサボっているの見抜いて何度いろいろ連れ戻したか…」 「っ!!セシリオ…!!」 セシリオが今度はため息交じりに呟いたので、再びリーディが戦慄いた。 「プリオールと大違いだね。」 「そうだ、私たちの自己紹介とかは?ねえステラ?」 「あ、そうだね。」 するとセシリオはにこやかに答える。 「もうすぐお城に到着しますので、その時に王女とその他の家臣たちの前で、 していただきましょうか?」  セシリオは王女であるフィレーンが数か月前に城に、従者ゴードンを連れて戻ってきた時に、ついに勇者とその仲間に巡り合えたことを聞いていた。そして今初めてステラに対面してまだ一度も言葉を交わしていないのに、勇者が彼女だとすぐに分かった。何故なら行方不明とされていたリストンパークの第一王女オーキッド姫に生き映しだったからだ。ただ彼は勇者が女性である事実と、それ以上に、リストンパーク王室の生き残りが生存していたということだけでかなりの驚きであったのだが。  また一方で、彼は気になっていた。彼女が祖国を襲撃した魔性と同じ紫の瞳と星の煌きのような銀の髪をしていたことに。 …二人(王女とゴードン)はそれ以上のことを言えなかったのだ。昔の現状を察して。
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