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その玉座の周りをゴードン老師をはじめ、大臣らしき中年の男と、同じくセシリオと同じように翡翠色のローブを身に着けて、額にサークレットを飾っている王家公認魔導師の姿が何名かが取り囲んでいた。
「王女、ただいま王子が帰還いたしました。」
「セシリオ、ご苦労だったわね。」
フィレーンは錫杖を突いて立ち上がると、リーディに向き直る。
錫杖の飾りがシャランと鳴る。
「リーディ、久しぶり。そしてお帰りなさい。」
「姉君もご機嫌麗しゅう…。」
恭しく一例をするリーディは本当に別人のようで、でもステラはこれが本来の姿だって思い込むようにしていたが、急にすましていたフィレーンの顔がほころんだ。
「…もうやめない?こんな茶番みたいな挨拶」
「王女!」
その様子に気が付き、即座にセシリオが執り成そうとする、が
「だよなフィレーン、らしくないぜ」
リーディも胸に当てていた手を「やってられない」といった風にひらひらさせてニヤリと笑い、フィレーンもくすくす笑いながら、後ろの彼の仲間たちに向かい再び挨拶する。
「みなさん、はじめまして、…あ、ステラとキャロルは2度目ね?私はスフィーニ王国の第一王女フィレーン ヴィエント スフィーニと申します。 リーディの5つ上の姉です。あ、でも家臣達は皆、初めてのお目通りだから自己紹介していただけないかしら?」
そう言われたので、即座にメイとコウがはきはきと挨拶をする。
「メイ・ドゥモーグです。エストリアで踊り娘をしています。」
「弟のコウ・ドゥモーグです。同じくエストリアで武器職人をしています」
「 キャロル・イブ・ノエルと申します。 ムヘーレス大陸の北西のはずれの修道院の出身です。」
キャロルはいつもの通り、慎ましやかにお辞儀をする。次にプリオールが自己紹介したあと、ついにステラの番が来た。
「ステラ・ルラ・ムーンと申します。 同じくムヘーレス大陸の北東地方の出身です…」
セシリオはじめ、レオノラ、ゾリア、大臣も礼をする。ステラはセシリオ以外の三者三様の視線を感じた。一人は戸惑いと焦燥を込められた、一人は、興味深く、一人は疑り深く。
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