第十章 魔法国家スフィーニ ―Magic nation of Sufini― 

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「メイ、コウ初めまして。エストニアの仲間ってあなたたちだったのね。私は王女である前にリーディの姉だからここでは遠慮なく頼って頂戴。」 フィレーンの頼もしい言葉に、メイとコウもありがとうございますと頭を垂れた。 「で、私から追加で説明するわね?キャロルは北西の修道院だと言っていたけれど、北の大陸では有名なアルドゥアン修道院出身のことなの。神学や回復呪文にはとても秀でているのよ。」 「いえ、めっそうもございません」 キャロルは謙虚に答える。 「で、ステラ。彼女こそ亡きリストンパーク王家の唯一の継承者、オーキッド王女の 娘である勇者の血を引くもの」 大臣は一瞬目を見開き、すぐさま訝しげな表情になり、レオノラとゾリアは驚きのあまり顔を見合わせた。 ステラは慌てて、フィレーンに言う。 「そんな。まだ私は勇者だという自覚なんてあまりないし…。」 「何言ってるの。まずリストンパーク王家の末裔っていうことは事実なんだからあなたから胸を張って言うべきだったのよ?」 「いかにも、ワシが証人になってもいい。」 ゴードン老師が口を開いた。 すると別の声が上がった。 「ほほぅ。亡くなったといわれていたオーキッド姫が子を成していたとは…。どこの馬の骨ともわからない男の子だということですなぁ」 「ググゲル!」 暫く黙っていたリーディが声を荒げる。ステラは母を侮辱されたような気がして一瞬激高しそうになったが、辛うじて抑える。 「しかも、このペンダントの予言の研究など、大それたふざけたことをするからこの国は、魔性に狙われ前女王も亡くなられたのだ。フィレーン王女?あなたも右目の視力をほぼ失ってしまったではないですか。正当な王位継承者でもない王子を庇って?」 その言葉にリーディの表情が一瞬怯んだように揺れ、フィレーンが静かだが厳しい口調で言い放つ。 「大臣、口を慎みなさい」 「王女。もういい加減に王位を継承して女王として落ち着いていただきたい。あなたの亡き王配だってそれを望まれているはず。フィレーン王女、あなたはスフィーニの立派な後継者であるのですから。」 そしてふんと鼻を鳴らして部屋を出て行ってしまった。その姿を見届けてフィレーンは一度ため息をついて再び口を開いた。
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