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「おーいたいた。ゾリア、ありがとね。」
「舞姫の頼みなんてお安い御用さ」
―あーあ、ゾリアのやつ女には目がねーんだから。
ホッとした自分のことはさておき、リーディは親友の言動が相変わらずだと思いつつ、その3人の立ち位置を見てさらに苦笑をせざるを得なかった。
ゾリアとメイの間には、コウがにこやかに…立ちはだかっていたから。よく見ると目は笑っていないように見える。
「ゾリア…。」
「レオノラ、リーディ、そろそろ食事の時間だ。久しぶりだから二人でいろいろ話したいのはわかるが、レオノラ?俺だって王子と話したいんだぜ?」
「もーリーちゃんすぐにどっか行っちゃうからさあ、ゾリアさんに居そうな場所を訊いちゃったってわけよ。」
メイは軽く口をとがらせ、ゾリアは薄く笑うと行こう、と二人を誘った。
5人が謁見の間に戻ると、フィレーンもちょうどセシリオと侍女を連れて戻ってきたところだ。
「もうそろそろよ。久しぶりの会食だから、大広間に宴席を設けさせるつもり」
リーディにそう微笑んだ時、ステラがキャロルとゴードンを連れてやってきたのだ。
「フィレーンさ…じゃなかった。フィレーン王女!」
「ステラ、そんなかしこまらなくていいわよ。
あら、そのフランベルジェをずっと愛用しているのね?ちょっと見せて」
ステラは呼ばれて、ちょうどリーディたちを横切る形でフィレーンに近寄る。
同時に彼女の長い銀色の髪が流れるように靡いた。
瞬間、レオノラは見逃さなかった。
…自分の想い人がそれを、とても愛おしそうに優しい瞳で見つめていることを。
―4年前の襲撃で心を一度病んでから、彼はこんな優しい瞳をしなくなったはず。だけど…。
思わずローブの裾を握りしめる。
―彼がずっと想っていた人って、勇者(彼女)なの…?
「あらー刃がもうボロボロねぇ。でもここまで使い込んでくれて剣も喜んでるわよ」
フィレーンの声ではっとレオノラは我に返った。
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