第十章 魔法国家スフィーニ ―Magic nation of Sufini― 

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憮然とするのはしょっちゅうだし気には留めてなかったけど。なんだか機嫌が悪い気がするんだよね…。なんでこうもしっくりいかないのかな。  行動はなんだかんだ言っても優しいけど。さっきもこの服貸してくれたし。 少しため息をついたステラを見てプリオールは気が付いて顔を覗き込んだ。 「リーディ殿のことですか?」 「っ!びっくりした…。ええ…。」 「実は後で言われたのですよ。島で何かあったら絶対に何を優先してでも島に戻るようにと。」 そうだったの?ステラは驚いた。そんなことを彼は言っていたなんて、思いもしなかったから。 「…『あんたはあそこの島ではなくてはならない存在だから』って。彼は不思議な人ですね。子供っぽいところもあり大層老成しているところもある。」 確かに…そうよね。この前のココナッツ粥の一件と言い、私と歳がそう変わらないのに。 あ、でも歳と言えば… 「あなただって十分老成してるよ。プリオール」 「仕方ないのです、早くからこのような立場になるとどうしても」 聡明そうな眼差しでこっちを見るのでステラは苦笑した。 ―子供らしくいられた時期なんて、ほんの少しなんだろうなと。 そんなステラを見て、プリオールは急に話題を変えた。 「ステラは何処の出身なのですか?」 「私?」 結い上げた髪のおくれ毛の先を指に巻き付けながら、ステラは答えた。 「北のムヘーレス大陸よ。そこを転々としていて。」 「寒い地域ですね…。」 「そうよ。あと数か月したら厳しい冬が来る。」 そう言いつつ、冬での母との生活を思い出した。薪をたくさん割って、暫くは山から下りられなくなるから保存食を作ったり。越冬用のお酒も醸造したり。ずっとそういう生活が続くと思っていたけど…。 「…どうしました?」 「ううんなんでもないわ。そろそろ寝ようかしらね?」 ステラはプリオールの呼びかけで我に返ると、静かに立ち上がった。
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