1人が本棚に入れています
本棚に追加
憮然とするのはしょっちゅうだし気には留めてなかったけど。なんだか機嫌が悪い気がするんだよね…。なんでこうもしっくりいかないのかな。
行動はなんだかんだ言っても優しいけど。さっきもこの服貸してくれたし。
少しため息をついたステラを見てプリオールは気が付いて顔を覗き込んだ。
「リーディ殿のことですか?」
「っ!びっくりした…。ええ…。」
「実は後で言われたのですよ。島で何かあったら絶対に何を優先してでも島に戻るようにと。」
そうだったの?ステラは驚いた。そんなことを彼は言っていたなんて、思いもしなかったから。
「…『あんたはあそこの島ではなくてはならない存在だから』って。彼は不思議な人ですね。子供っぽいところもあり大層老成しているところもある。」
確かに…そうよね。この前のココナッツ粥の一件と言い、私と歳がそう変わらないのに。
あ、でも歳と言えば…
「あなただって十分老成してるよ。プリオール」
「仕方ないのです、早くからこのような立場になるとどうしても」
聡明そうな眼差しでこっちを見るのでステラは苦笑した。
―子供らしくいられた時期なんて、ほんの少しなんだろうなと。
そんなステラを見て、プリオールは急に話題を変えた。
「ステラは何処の出身なのですか?」
「私?」
結い上げた髪のおくれ毛の先を指に巻き付けながら、ステラは答えた。
「北のムヘーレス大陸よ。そこを転々としていて。」
「寒い地域ですね…。」
「そうよ。あと数か月したら厳しい冬が来る。」
そう言いつつ、冬での母との生活を思い出した。薪をたくさん割って、暫くは山から下りられなくなるから保存食を作ったり。越冬用のお酒も醸造したり。ずっとそういう生活が続くと思っていたけど…。
「…どうしました?」
「ううんなんでもないわ。そろそろ寝ようかしらね?」
ステラはプリオールの呼びかけで我に返ると、静かに立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!