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甲板にてリンデルの漁師に伝わる酔い止めを飲んで元気になったメイが、ランタンの灯の下コウと話している。
「ごめんねコウ、心配かけちまって。」
「だいじょうぶだよ、さっきの夕食もすっかり平らげていたから元気になったって安心したよ」
食事当番は交代制だが得意なコウ・キャロル・ステラが大体作る。キャロルは薬草を使った修道院仕込みの薬膳料理。ステラは素朴で山仕込みの家庭料理。ただ海の魚を扱うのは慣れていないのでコウと一緒に仕込みをする。材料調達は
釣りが好きなリーディがやる。彼も海が近いところで育ったから魚には詳しかった。
料理の類は何にもできないメイだがその辺は恵まれているなぁと思っていた。
「ま、私の働きはほかで返すからね。ところでコウ、地図を見て何してるの?」
コウは地図に行った洞窟に羽ペンでチェックを入れていたようだ。
「父さんが残してくれた地図だよ。実はエターナル・メタルがあるといわれている洞窟がスフィーニの海域近くにあるから」
「あんたの目的は父さんの遺志を継ぐことだし?」
コウは頷くと立ち上がって地図を仕舞った。夜風が冷たい。メイもぶるっと震えた。それに気が付きすぐ自分の上着を華奢な姉の肩に羽織らせた。
「あと一週間でリーディの故郷だね。」
「そうだけどさぁ、コウ?リーちゃん自身は淡々としてるよね。」
メイは上着に袖を通し、二人は同時に夜空を見上げた。
「星の位置もだいぶ違う、ロディアーニを出てから2週間だもの」
「航海の無事を祈るよ。」
リーディは一人舵輪の傍にいた。彼はあと一週間で祖国に到着するにあたって色々と段取りを巡らせていた。
―城に皆を連れてって、その時身分を明かしてフィレーンを紹介しよう。いや、当たり前だが姉以外にも俺縁の人間がたくさんいるし。城の人間関係は、
ややこしい。俺をよく思わない人間もいる。まぁそれくらいはいいのだが、皆を紹介した時に仲間に面倒を掛けなければいいが。
他にも色々懸念があったが、彼は、心構えは十分にあった。
―あとは俺がどれだけ、巧く立ちまわれるか、護れるか、だ。城の修復は、だいぶ進んだと思うがまだ終わってないだろうな。俺が最後にスフィーニ城を出たのはちょうど3年前だし。
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