第十章 魔法国家スフィーニ ―Magic nation of Sufini― 

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 麻の襟ぐりの開いたワンピースだ。綺麗なデコルテにはペンダントがその下はうっすらと胸の谷間。 しかし、髪型が城の侍女のように高々と丸くまとめている。 ―色気が台無しだ。 「これ、あんた替えがないでしょ?洗ってからの方がいいかと思ったけど」 リーディは昼間貸したきちんとたたまれた綿のシャツを差し出された。話し方までぞんざいだ。 「…その髪型、いまいちだな。」 そういいながら、彼は受け取る。 「しょうがないでしょ。食事作る時髪の毛落ちるから。」 ステラは、少しムッとしたように答えた。 リーディはその反応に織り込み済みと言わんとばかりに彼女に近づくと、さっと髪を留めているピンを抜く。するとはらはらと銀の髪が落ちる。いつものポニーテール状態だ。 「ちょっと!」 ステラは驚いて後ずさりするが、 リーディは「じっとしてろ」といいつつ、彼女の後ろに回って、更にまとめてくくっていた髪留めを取って、髪を触る。ほんの少し癖のある髪は出会ったころより銀に近くなっている。手櫛で梳きながら、あえてルーズに編みこみ、まとめ上げていた髪留めで編み上げた髪の先を留める。そして彼女には気が付かれない様にそっと、その先にキスをした。 「できた。」 「?」 ステラは振り向いた。 「え??いつの間に…?」 「そっちの方がいいぜ。」 リーディはニヤリと笑った。 ステラは戸惑い、ドキマギしながら目を逸らす。 「…ありがとう。ちょっと鏡見てくるっ。あ、ちゃんと返したからね。」 「おうよ。」 パタパタと足音をさせながらキャビンへ降りてゆく姿を見送って、リーディは苦笑した。 ―しばらくは、こんな感じでいいのかもな。 そして不寝番の準備に当たり、毛布を体に巻き付けた。 ステラは自分の船室に戻る時に、コウとすれ違った。 「あれ?ステラさっきと髪型違う。」 「うん。寝る前だしね…。」 ステラはあえて詳しいことを述べずに答えた。 「なんか女性らしくてかわいいよ。うん、後れ毛の具合とかセクシーだ。」 「そう?」 そしておやすみとだけ言って船室に戻り、備え付けの鏡を見ると、いつもと違う自分の姿。編みこんだ三つ編みが下の方に行くにつれルーズに編まれていて、何ともその緩さが婀娜っぽく、艶めかしい。ますます赤面して彼女はそのまま、寝台に突っ伏して眠りについたのだ。
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