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とはいえ、こいつはなかなか難しいものですよ。
普段の運動不足が祟りまして、二度三度は足の指先を攣って苦しみましたし、なにより、ノートパソコンを開く時が一番大変でした。
まずノートパソコンの上半分、画面側を開くために備えついている取っ手部に、右足の指を引っかけて「よいではないか」と強引に開こうとしました。
ですが、ノートパソコン自体があまりにも軽すぎたのが原因で「いやんバカン恥ずかしい」とそのまま本体ごと持ち上がってしまい、開くことを拒まれました。
イケズでした。なのでなんだか燃えました。
しかし何度右足でしつこく迫ってみても、『パソ子』は私にアソコを開くことはありませんでした。
結局、3分間ほどは彼女に夢中になっていたのですが、どれだけソフトタッチで迫ろうと愛を囁いてみようと、慣れない体勢からという事もあるのか彼女は怖がって、角度で言えばせいぜい10度ぐらいまでしか私のことを許してはくれません。
あまりに焦らされて「アマの川で最安価で売られていた安モノのくせに生意気な」と腹が立ち始めたころ、ここでようやく、キーボード側下半分を押さえていなければ開けられないと、当たり前のことに私は気がついたのです。
アホです。
自らのアホさを客観視したことで、ようやく開かない原因に気づいた私の脳内でしたが、こんな『当たり前の事が盲点になって気付けない自分』を、とても恥ずかしく思ったのでしょう。急に癇癪を起こしてしまい、気づいた時には我を忘れて「なにくそ」と、10度の隙間の中へ右足を強引に突っ込んでいました。もはやレイプです。
瞬間的な短い癇癪だったのもあり、我に返ってこれたのは約五秒後でしたが、冷静になって改めてよく見ると、その時私の右足は、まるでノートパソコンに噛みつかれているような形になっていました。
傍から見れば『ワ二〇ニパニックで負けた人』(逆立ちの件とレイプの件は置いといて)。
そんなバカ丸出しの画を、私はまた一人で客観的に想像し、「俺はアホやな」と自虐的にツッコんで、クフクフと一人で呑気に笑いはじめてしまいました。
そして。
そんなマヌケな体制のまま笑い続けていた私は、なんと。
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