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出版社主催のパーティーへ彼らを招待した。高いハイヒールに慣れていないのか、躓いた未結を抱き留めた。彼氏の顔色が変わり、睨みつけるように歩いて来るのが見える。
なるほど、最近の若い奴にしてはまっすぐな瞳をしている。彼が君を悩ませている人なのか。未結への興味は深くなった。
「誰を愛しているのかわからない」
あの日、初めて未結の心にふれた。泣きながら苦しむ姿を見た時、未結を愛しむ衝動に駆られた。
抱き締めた俺の腕から逃れようとした未結が愛らしかった。
やがて彼女は、決断を下した。忘れ得ぬ恋人ではなく、いつもそばに寄り添っていた彼に想いを告げた。
後日に会った彼女は、幸せそうに笑っていた。彼が彼女を変えたのだ。
まるでライラックの花の様な人だった。恋の芽生えに戸惑い揺れ動く。花びらが風に舞い、吹かれている様に。
もし今、眠りから君が目覚めたなら。彼女が見せた微笑みを、俺に見せてくれるだろうか。
愛している君に、逢えたなら。
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