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女性作家を断り切れず、彼女を傷つけているのだろう。容易に察しが付く。
「失くしてもいいのか」
大切な人が自分の傍らに寄り添ってくれる。それがどれほどに奇跡に等しいものなのか。きっと彼にはわからない。
「立場や状況じゃない」
どうにでも変えて行ける、それは自分次第で掴みとっていける。
意志の固い、まっすぐな瞳を彼はしていた。深く頷いた彼なら、おそらく彼女を失う真似はしないだろう。
彼が歩き出した足元、アネモネの花が風に揺れていた。彼は知っているだろうか、その花の言葉を。
『貴方を信じて待つ』
愛らしく笑った彼女を思い浮かべた。
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