知的黒猫《インテリくろねこ》と美的乙女《ゴスロリおとめ》

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「それからこのスカートの三段フリル。夜空にふわふわと漂う雲々のように、銀鼠色にすることで儚さを醸し出しています」  夜空の瞳は乙女のごとく煌き、じわじわととろけだす。熱弁しているが、吾輩はその奇怪な服装を知りたかったわけではない。玉石についても、別段と深く知る気は起きぬ。 「どうです? どうです? 素敵すぎて言葉もありませんか? そうでしょう、そうでしょう。ふふ、そうでなくてはいけません」  橋の影に絡みつく残夏の風。揺らぐ黒灰のどれすなるもの。  赤く「祭」と書かれたうちわを扇ぎ、吾輩を見ては、にやつく没落貴公子。  この男、ひっかいてやりたい。やりたいが。吾輩は寛大。寛大である。 「これはですね、選ばれし美少女のみが着ることを許されたものなんです。そんじょそこいらの少女では着こなすことなどできないのです。どうです? えっと、わたしはよく似合っているでしょう?」  土石を焦がす真昼の射陽。それをさんさんと浴びて湯立つ、美少女を称する美少女。 「だからです、黒猫さん。あれ、いつまでも黒猫さん呼ばわりだとあれですね。ああ、でも今はそれよりも言わなきゃいけないことがあって。えーっと、あれ、わたし何を言おうと、黒猫さんは黒猫さんですし、えーっと、あー、ふふ。素敵でしょう?」 「ねえ、珊瑚ちゃん」     
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