僕の世界

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「なー、それでさーマジふざけんなって・・・聞いてる?」 「え? あぁ、聞いてるよ」 そう言うと、しばらく間が空いた。 「・・・嘘つけ、俺は目が見えるから分かるんだぞ! お前このカフェのねーちゃんに恋してるだろ」 「え"!?」 手探りで持ち上げたコーヒカップを、驚きすぎて落としてしまった。 しまった! そう思った時にはもう遅く、ガチャーンと耳障りな音が響いて、バチャバチャとジーンズの裾にコーヒがかかったのが分かった。 「・・・だ、大丈夫ですか!?」 定員さんが駆けつけてきて、テーブルを拭いてくれているみたいだ。 「あちゃー、こぼしちゃったなー。俺の言ったことが図星だったかー?」 山崎は呑気にそんなことを言っている。 もちろん、片付けようとはしない。 彼は自分の事は自分で片付ける男だから。悪いようにいえば他人の事は放っておく主義。 「・・・図星じゃねーよ。あ、ありがとうございます。本当にすいませんでした・・・」 頭を下げると、定員さんは「大丈夫ですよ」と言ってくれた。 「目が見えない分、行動や声、周りの音に人一倍気をつけてる吉村くんがあれれ~~? 今日はどうしちゃったのかなーーー?」 「君のせいじゃないか・・・」 彼の乾いた笑い声が聞こえる。 ふん、と鼻を鳴らして手探りでバックを引き寄せようとすると、彼が立ち上がり隣に座る気配がした。 「なあ、今日はどんな天気か知ってるか?」 「・・・多分晴れじゃないかな? 今朝のニュースでもそう言ってたし、何より鳥がないてるし、雨の音はしないし、太陽の温度を感じた」 答えると、彼は僕の肩に腕を回して「ピンポーン!」と叫んだ。 「そっ、つまりつまり?」 「つまり? 今日は晴れってこと?」 「ちっがーーーう!」 「つまり今日は、絶好の告白日和だって言ってんだよ」 「はぁ・・・」 今日も彼は僕の変な友人だ。
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