4人が本棚に入れています
本棚に追加
「なー、それでさーマジふざけんなって・・・聞いてる?」
「え? あぁ、聞いてるよ」
そう言うと、しばらく間が空いた。
「・・・嘘つけ、俺は目が見えるから分かるんだぞ! お前このカフェのねーちゃんに恋してるだろ」
「え"!?」
手探りで持ち上げたコーヒカップを、驚きすぎて落としてしまった。
しまった! そう思った時にはもう遅く、ガチャーンと耳障りな音が響いて、バチャバチャとジーンズの裾にコーヒがかかったのが分かった。
「・・・だ、大丈夫ですか!?」
定員さんが駆けつけてきて、テーブルを拭いてくれているみたいだ。
「あちゃー、こぼしちゃったなー。俺の言ったことが図星だったかー?」
山崎は呑気にそんなことを言っている。
もちろん、片付けようとはしない。
彼は自分の事は自分で片付ける男だから。悪いようにいえば他人の事は放っておく主義。
「・・・図星じゃねーよ。あ、ありがとうございます。本当にすいませんでした・・・」
頭を下げると、定員さんは「大丈夫ですよ」と言ってくれた。
「目が見えない分、行動や声、周りの音に人一倍気をつけてる吉村くんがあれれ~~? 今日はどうしちゃったのかなーーー?」
「君のせいじゃないか・・・」
彼の乾いた笑い声が聞こえる。
ふん、と鼻を鳴らして手探りでバックを引き寄せようとすると、彼が立ち上がり隣に座る気配がした。
「なあ、今日はどんな天気か知ってるか?」
「・・・多分晴れじゃないかな? 今朝のニュースでもそう言ってたし、何より鳥がないてるし、雨の音はしないし、太陽の温度を感じた」
答えると、彼は僕の肩に腕を回して「ピンポーン!」と叫んだ。
「そっ、つまりつまり?」
「つまり? 今日は晴れってこと?」
「ちっがーーーう!」
「つまり今日は、絶好の告白日和だって言ってんだよ」
「はぁ・・・」
今日も彼は僕の変な友人だ。
最初のコメントを投稿しよう!