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「あれ、山崎と吉村じゃん。こんな所で何してんの?」
「あ、小森」
「小森さん?」
その辺の女の子より少しだけ低くて、落ち着いた声、これは同じクラスだった小森さんだ。
山崎の楽しそうな声が聞こえる。
「よぉー、何してんの?」
「買い物の帰り。あんたらは?」
「吉村の失恋パーティ」
「ぶっ! ちっ、違うよ!!!」
「え!? 違うのか!?」
多分きっと、これも本気で言っているのだから厄介ったらない。
そう思っていると上からコロコロと鈴を転がしたような笑い声が聞こえた。
「何それ、吉村失恋したの?」
「違うってば! あーもう山崎!!!」
叫べば、山崎は隣でケラケラと笑っている。
「~~~もう山崎~~~っ!!! いい加減にしろよ!!!」
手探りでその頭を叩こうとすると、何が別の柔らかいものに当たった。
なんかこう・・・、幸せなあまーい柔らかさって感じの・・・。
「・・・ん? 山崎太った?」
「ぶっははははっ! ちげーって! それ小森のちっぱい!!!」
多分今日1番。山崎は見ずともわかるくらいに笑い倒していることだろう。
「・・・うぇっ!? ご、ごめん小森さん! わざとじゃなくて・・・」
「おーおー、盲目くん、それはよくよく承知だよ。とりあえず歯ァ食いしばれや」
「ぎゃーーーーっ!!!」
くる! 小森さんのビンタが来る!!!
そう思って、普段から閉じている目を、もう一度固く瞑った。
しかし、来ると思った衝撃は来ない。
代わりに頬に柔らかい感触がした。
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