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体育館裏での告白練習の次の日。
僕たちは夕暮れの河原に来ていた。無論『次はロケーション』だからだ。
「川のせせらぎが落ち着いた良い雰囲気を作るかと思ったが、案外に川がうるさいな。これではせっかくの告白が掻き消されてしまう」
天才は例のバイブルに何かを書き込みつつ、今日もブツブツ呟いている。
「他にどこかいい場所があるだろうか」
「うーん、そうだなあ。平日に呼び出すのなら、学校からあまり離れていない場所がいいだろ。あそこの観覧車のとことかどうだ? 夕方からイルミネーションやってるらしいし」
「ほう、なるほど。では明日はあそこに行ってみよう」
そして次の日、僕たちは観覧車の下にいた。
「イルミネーションは綺麗だが、人目が多すぎるな。これでは彼女が晒し物になってしまう」
とのことで却下になった。
「さて、じゃあ次は……」
それから毎日僕たちは『告白ロケーション』を探し回った。
次の日は砂浜、その次の日はデパートの屋上、さらにその次は高層タワーの展望台。
1週間かけて、おそらく90か所以上を回った。
そして結局のところ学校が一番人目が少なく、制服でも目立たず、アクセスも良いという結論になり、最初に練習した体育館裏に決定した。
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