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相談
「終野結子という女子生徒を知っているか」
「もちろん知ってる。クラスメイトだ」
放課後の教室。
神妙な面持ちで解人は一人のクラスメイトの名前を出した。
「そうか。それなら話は早い。では、彼女が旅行が趣味というのは知っているか」
「いやそこまでは知らないな……」
「無類の猫好きというのは」
「いや初耳」
「では小学校の時『うこん』と呼ばれ親しまれていたことも知らないな?」
「逆に何で知ってるんだよ」
てかそれ悪口じゃないか? いやウコン身体にいいけどさ。
「ここ最近、私は彼女について調べていた」
解人が声を低くする。
「ここからはトップシークレットだ。小学校からの付き合いのお前だからこそ話すんだ。わかるな、問也」
解人が鋭い目付きでこちらを睨む。
他言無用。口外厳禁、ということか。
ごくり、と僕は生唾を飲み込んだ。
「わかった。僕は大丈夫だ、解人」
「お前ならそう言ってくれると思ったよ」
ふっと解人は微笑む。
そして、彼は言った。
「私はどうやら終野結子のことが好きになってしまったらしい」
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