相談

1/2
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

相談

終野結子(ついのゆうこ)という女子生徒を知っているか」 「もちろん知ってる。クラスメイトだ」  放課後の教室。  神妙な面持ちで解人は一人のクラスメイトの名前を出した。 「そうか。それなら話は早い。では、彼女が旅行が趣味というのは知っているか」 「いやそこまでは知らないな……」 「無類の猫好きというのは」 「いや初耳」 「では小学校の時『うこん』と呼ばれ親しまれていたことも知らないな?」 「逆に何で知ってるんだよ」  てかそれ悪口じゃないか? いやウコン身体にいいけどさ。 「ここ最近、私は彼女について調べていた」  解人が声を低くする。 「ここからはトップシークレットだ。小学校からの付き合いのお前だからこそ話すんだ。わかるな、問也」  解人が鋭い目付きでこちらを睨む。  他言無用。口外厳禁、ということか。  ごくり、と僕は生唾を飲み込んだ。 「わかった。僕は大丈夫だ、解人」 「お前ならそう言ってくれると思ったよ」  ふっと解人は微笑む。  そして、彼は言った。 「私はどうやら終野結子のことが好きになってしまったらしい」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!