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山にはまだまだ不可思議な事が有るもんじゃて!
晴れた日に作蔵は猟の帰る道すがら男山道を下って行った。
天気は気持ちが良いくらい晴れて、遠く迄見渡せるくらいに雲一つ無く晴れて居た。
対面の女山道を、矢張り下っている者が居た。
「ハテ?」と作蔵は対面の女山道を見て思った。
「ヤヤ、熊か?」
このまま山道を下ると下の登り口、男山と女山入り口にて、出くわしてしまう。
作蔵は火縄銃に弾を詰めて火縄を、いつでも火をつけられる状態にした。
そろりと、下りる作蔵。
対面女山から走り込む様に下りる物!
作蔵の弾は後ニ発だけだった。
『なんじゃありゃ????』
作蔵は男山の山道から逸れて茂みに身を隠した。
女山から得体の知れない物が下り終え、男山を登り始めた。
得体の知れない物はドンドンと男山を登って来た。
もう、すぐそこまで登って居た。
『作蔵・・・撃ったらイカンがなぁ~』
作蔵は火縄銃の引き鉄に当ててる指がピタリと止まった。
『ほうじゃ、ほうじゃ、作蔵、撃ったらイカンでなぁ~』
得体の知れない物はそう言い残して男山を登って行ってしまった。
里に下りた作蔵は父親に今日の出来事を話した。
父親が『そりゃ撃たんで良かっただで作蔵!』
『お父、アレはなんじゃ?』と作蔵が親父に聞いた。
『アレが、覺(サトリ)、じゃろう~~て』と親父が言った。
『もし、オラが撃ったら・・・????』と作蔵が親父に聞いた。
『覺、は人間の心を悟るから、サトリと言うんじゃ、お前が撃つ前に、覺はお前を殺しておったじゃろう~て』と親父は言ってのけた。
『山で覺に会ったら、心を「無」にするのが一番じゃでのう~』と親父は言った。
『山にはまだまだ不可思議な事が沢山あるだでなぁ~』と親父が作蔵に注意する様に促した。
ーサトリ・お終いー
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