その果ての刃

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「一之瀬さんは絞殺、風谷さんは失血死、夏子さんは自殺です」 「な、なんだって?」 「これも思い込みですね。連続で見つかった死体、前の2体が明らかに他殺だった為、三体目も他殺だと思い込んでいたということです。でも、そう思い込むように仕組んだのはさつきさんです」  私の言葉を受け、芳本先輩が私とさつきの顔を交互に見た。 「面白い事を言うわね。聞きましょう、私が何を仕組んだのか」 「順を追って話します。まず一之瀬さんと共にラブホに入ったのは風谷さんではないですか? 特殊な性癖がある彼は、金で受け入れてくれる人を日頃から探していた。まゆさんはさつきさんや夏子さんに恩を感じていた為、ふたりの顔見知りである風谷さんを邪険にはできなかった。到底相場とは思えない低いお金でも、受け入れた。三年前の件も知らずに。だけど、なんらかの方法で彼があなた方をゆすっていた事を知り、懇願したのだと思います」 「なぜ特殊な性癖があると思うのかしら?」     
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