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まるでその事実はなかったものにするかのように。
「だが、ご夫妻が偶然にも隠し持っていた写真が残っていた。それが、この写真だ。隣に写っているのは、八歳頃のママだろう?」
少し色褪せた写真を彼女の前に差し出すと、懐かしそうにそれを眺める。
「ええ、ええ。そうよ。この写真、キリカのご両親と私の母と栗拾いに行った時のもの。同じ写真を私も持っているわ」
「もし、もう一度キリカに会う事があったら渡して欲しいと言われた。その写真はママに預けておくよ」
――で、と一旦俺は仕切り直す。
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