光冠を投げ捨てよ

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「月の国ってどんな所なんだ?」 何気なしにアグニは聞いてみた。 「どんな所…そうだな。一面が白い砂で、遠くに海があって…群青色の空に月が満ち欠けしてる」 「月は欠けるのか?」 「月は毎日姿を変えるんだ、月がない日だってあるぞ」 アグニは驚いた。 それでは真っ暗になるのではないのか、そう聞いたがノルンは違うよと言った。 「星があるから」 「星?星ってなんだ?」 「小さな光。それが沢山集まって様々な光の強さで辺りを照らしてくれるから」 そもそも空が暗い色だなんてことが有り得ない太陽の国で育ったアグニには、想像することすら容易ではない世界だった。 「太陽の国は?」 「空は水色で太陽以外には何も無いし、あんまりに眩しいから日の光をずっと見つめるのは無理だ。あとは木や花が沢山ある」 「木って何?」 ノルンの質問にアグニは頭を抑えて唸った。どう説明すればいいのか分からなかった。 「み、緑色の葉っぱ」 「花も?」 「花は赤とか、黄色とか、色々だ」 ノルンは胸で大きく息を吐いた。 「太陽の国には色んな色が溢れてるんだな…月には白と青しかない」 「獣もいっぱいいるぞ、ほら、あの像みたいなやつだ」     
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