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「どうした?そんなとこで」
それはアグニと同じ年頃の青年二人の声だった。アグニは彼らに別に、と素っ気無く返すと目を閉じた。
青年二人はそれぞれ肩を竦めたり苦笑いを浮かべたりしながらアグニの傍に歩み寄った。
「何かあったな、分かりやすい奴」
「悩み事か?馴染みの俺達が聞いてやろうじゃないか」
勝手に両隣を陣とられアグニは目元に片腕を当てた。ふと、そこでこの二人の内の片方がが既に同胞の女と所帯を持っていることを思い出し、思わず聞いた。
「結婚…って、なんだ」
「は?」
「どんなものなんだ」
アグニが呟いた言葉に二人はぽかんと口を開けた。
一体何の話だ、と言わんばかりにお互いに顔を見合わせる。
「そりゃあお前、男と女が…好きあったら一緒になるもんだろ。子供だって作らないとだし」
「子供…っ?」
「うわっ!」
アグニは目を開いて勢いよく起き上がった。
「そう、か、そうだよな…」
男と女が愛し合えば子供が出来る。ノルンは同胞の女と愛を誓い、子を育みやがて父になる。
胸の奥で妙なざわめきが一際大きさを増した。
「子供と伴侶が、一番大切になるよな」
「俺んとこはまだだけど、いつかはそうなるだろうな」
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