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監視役として再び前にした時、ノルンは一度もミィナを責めなかった。それどころか、すまないだなんて謝罪までしてみせて。
いっそ憎んでくれた方が楽だった。
ノルンの抱えていた人生の重圧と、能力への憂い。そしてそれを払拭させた太陽の民の若者への想い。視るたびに、触るたびに色々なことが強く伝わってくる。
ノルンは本当にあの若者を愛している。種族を越えて一人の人間として。
過去の記憶を探るたびにミィナは罪悪感に体を蝕まれていった。
勿論嫌悪はあった。守り人ともあろう者が異属に心を開くなどあってはならないこと。
それでももう一人の自分がそっと囁きかける。彼の記憶の中に住む太陽の若者が脳裏にちらつく。
――私の行動は正しかったのだろうか?
――今、どうするべきなの?
目をきつく閉じた時、窓の外で何かの音がした。
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