光冠を投げ捨てよ

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アグニは息を呑んだ。恐ろしさからではない。 その瞳が今まで見たどんな色の瞳よりも美しかったからだ。 「お、俺は」 アグニは緊張しているのを気取られまいと自分の胸に親指を指して強気に話しかけた。 「太陽の民のアグニだ」 「……そうか、俺は、月のノルン」 ぱちくりと目を瞬かせるそれは、アグニと同じ年頃の少年だった。
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