光冠を投げ捨てよ

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ノルンはまるで生まれたての雛鳥に触れるようにそうっとアグニの角に指先を当てた。 「あったかい」 驚いた声を出してさっと指が離れる。アグニは首を捻って当然だろと返した。 ノルンは段々と湧き上がってきた好奇心が抑えきれず、再び手を伸ばした。小さな手でアグニの角をぺたぺた触ったりつついたりを繰り返す。 「痛くないのか?」 「こそばゆい」 アグニは角をいじくられながらノルンを見つめた。興味津々に自分の角を触るこの少年が、おぞましいだなんてとても思えなかった。 「なんか…思ったより怖くないんだな」 アグニはきょとんと目を丸くさせた。自分が考えていたことと全く同じことをノルンが言ったのだ。 「なんだそれ」 「太陽の民は野蛮で力が物凄く強いから、すごく危険だって言われてたんだ…」 「そんなことない」 太陽の民は確かに力は強いが、それを争いごとに使った事などない。もっぱら皆呑気で穏やかな人柄をしている。 アグニが訂正すると、ノルンはそうなのかもなと頷いた。 「お前は全然暴れないし、背だって俺より小さい。もっと岩男みたいなのが来るかと思ってた」 アグニはむっとした。 「小さくない」 「小さいじゃないか」 「何だと」 「うわあ!」     
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