彼の背中

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「理子。」 えっ…………? 見上げると去って行ったはずの宮方さんが目の前に立っていた。 「……俺さぁ……こうやって理子と会うのが面倒臭いんだよ。」 が─────んっ! 突然の別れ話っ! 「だからぁ……」 やっぱり…私って愛されてなかったんだ。 「俺の家で待て。毎日。」 「えっ…毎日?」 「そう毎日。」 「でも毎日は…着替えとか……」 「荷物、全部持ってこい。」 宮方さん家に私の荷物を全部持っていくのって…… 「そっ…それはもしかして同棲というのですか?」 「あー…俺、そういう中途半端なの嫌い。」 じゃあどうしろと…… 「……俺の呼び方、宮方って呼ぶのは止めろ。」 えっ…… 「お前も宮方になるんだからおかしいだろ。」 これって……もしやプ、プロポーズ?! 一気に顔が真っ赤になってしまった。 「あぁっもう!理子があんまり悲しそうな顔するから言っちまっただろ?!指輪、家に置きっぱなしだわっ!」 ゆ、指輪? そんなものまで用意してくれてたんだ。 「これ渡しとくからとりあえず今日は俺の家で待っといて。」 宮方さんは私に自分の家の鍵を渡してから、小声でつぶやいた。 「なるべく早く帰るから…… お帰りって…言って欲しい……」 すごく照れくさそうな顔をして、背中を向けた。 付き合って100日目の今日も 振り向きもしない宮方さんの背中を 見えなくなるまで見送った──────── 6b8db44b-3487-4ec7-a077-4674fafab6b3
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