191人が本棚に入れています
本棚に追加
「理子。」
えっ…………?
見上げると去って行ったはずの宮方さんが目の前に立っていた。
「……俺さぁ……こうやって理子と会うのが面倒臭いんだよ。」
が─────んっ!
突然の別れ話っ!
「だからぁ……」
やっぱり…私って愛されてなかったんだ。
「俺の家で待て。毎日。」
「えっ…毎日?」
「そう毎日。」
「でも毎日は…着替えとか……」
「荷物、全部持ってこい。」
宮方さん家に私の荷物を全部持っていくのって……
「そっ…それはもしかして同棲というのですか?」
「あー…俺、そういう中途半端なの嫌い。」
じゃあどうしろと……
「……俺の呼び方、宮方って呼ぶのは止めろ。」
えっ……
「お前も宮方になるんだからおかしいだろ。」
これって……もしやプ、プロポーズ?!
一気に顔が真っ赤になってしまった。
「あぁっもう!理子があんまり悲しそうな顔するから言っちまっただろ?!指輪、家に置きっぱなしだわっ!」
ゆ、指輪?
そんなものまで用意してくれてたんだ。
「これ渡しとくからとりあえず今日は俺の家で待っといて。」
宮方さんは私に自分の家の鍵を渡してから、小声でつぶやいた。
「なるべく早く帰るから……
お帰りって…言って欲しい……」
すごく照れくさそうな顔をして、背中を向けた。
付き合って100日目の今日も
振り向きもしない宮方さんの背中を
見えなくなるまで見送った────────
最初のコメントを投稿しよう!