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「……いつからロリコンに走っ……」
やはり気づくか。
「お前、この子どうしたの?」
「……ロリコンには走ってないから安心しろ」
「そこじゃない、この子、オメガ?」
こいつもアルファだからわかるのだろう。眠っていてもオメガの甘いフェロモンは鼻孔をくすぐる。
「お前の番なら五千万で売ってやる」
そういうと、そいつは彼女の眠るベッドに近づきそっと頸部に触れた。
瞬間、彼女は吐息を漏らした。こいつのフェロモンに本能で反応したのだ。
「……脈が弱いね。しかも衰弱が激しい。そして、この子は僕の番じゃない」
「それは残念。売りつけるチャンスだったのに」
「買ったの?」
「……とりあえず、診てやってくれ」
俺の言葉に、そいつはカバンから聴診器を取り出して医者らしいことを始めた。
こいつの名前は加賀美悠人、医者だ。すでに親の病院を引き継ぎ院長なんて肩書もある。
因みにこいつの親もアルファで、いわば血統書付き。兄弟は何人かいるがアルファはこいつだけらしい。
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