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「竜生、警察に出頭するなら付き合うけど?」
「……楽しそうだな?」
「親友思いでしょ?」
「死ね」
「流石に返品、は、考えてないよね?」
「それは──」
「……へん」
甲高い声に、俺も悠人も振り向いた。
「返品、されるの……?」
ベッドで寝ていたはずの彼女が、体を起こしこちらを見ている。
「あぁ、目が覚めたんだね。でももう少し寝てたほうが──」
「来ないでっ!!」
そう叫ぶと、彼女はそばにあった悠人のカバンから覗いていた万年筆を取り出し、ペン先を自分の首元へ当てた。
「こらこら、お嬢ちゃん。ペンは剣よりも強しって言うけど、使い方が違うなぁ」
ヘラヘラと笑う悠人を、キッと睨みつけて「来ないで!」と彼女は繰り返す。
「……貴方たち、二人共アルファね」
警戒しながらも、彼女の頬が蒸気していく。当然の反応だ。
「……でも、どちらも番じゃない。そうでしょ?」
おそらくそうだろう。俺と悠人が目を合わせ、同調すると彼女はくっと唇を噛んだ。
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