218人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
「だから返品するの? 他のアルファに見せるため? それとも犯して本当に番じゃないか確かめる? 他のアルファにも犯させて、見世物にするの!?」
彼女の言葉に、絶句した。
「……君、今までそんなことを?」
「うるさいっ!」
はらりと彼女の肌を滑り落ちるシーツ。顕になる肌には、数えきれないだけの傷があった。
「もう、貴方達の言いなりになんてならないっ、もう、これで──」
ぐっと握られる万年筆。彼女はそれを喉に突き刺そうと──。
「やめろっ! お前はもう自由だ!」
俺がそう叫ぶと、彼女は動きを止めて、ゆっくりと俺を見た。
「死ぬ必要はない。お前の言うとおり、俺達は番じゃない」
俺の言葉に、彼女の大きな目が反応する。まるで、野良猫のような、警戒心たっぷりな目だ。
「だから、お前はもう必要はないが、あのオークションでもノーリターンと言われてる。転売するのも面倒だしな、だから好きにしろ」
「……」
「とりあえず、物騒なそれを喉から離してくれないか? ここで死なれても困る」
最初のコメントを投稿しよう!