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「ちょっ!?」
「待てっ、──っ!」
乗り越えてドアの向こう側に行こうとする彼女の腕を、何とか捕まえた。
「──あぁっ!!」
瞬間ゴキンッとすさまじい音が風に混じる。
「馬鹿っ! 竜生っ、肩が外れたんじゃ!?」
「だからなんだ! それでも離さなかった俺を褒めろっ!」
そう言えば、「褒めてる場合っ!?」と、俺の隣から悠人が彼女に手を伸ばす。
「君! そっちの手を伸ばして!」
悠人がそういうが、彼女は痛みに顔をゆがめ歯を食いしばるだけで反応しない。
「いいっ、このまま引き上げる!」
人ひとり飛び降りたのだから、それを受け止めた衝撃はあるものの、彼女自身は驚くほど軽い。
「──ぃやっ! あぁ──っ!!」
その悲鳴は、肩の痛みなのか、それとも……。
「──っ」
引っ張り上げて床に下ろせば、彼女は床に突っ伏して、だらりと動かない左肩を抱え、震えていた。
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