闇オークション

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「思ったより値段ついたな? ほら、返品されないようにな。ま、闇オークションではノークレームノーリターンだけどな」  そう言って笑う人身売買のディーラーは、あたしの首につけられた鎖をジャラっと鳴らした。 「ほら、歩けよ。新しいご主人様んとこ、連れてってやる」  言われるまま、立って歩く。  このオークションに来てるのは殆どがαか、その代理人。  世界には男と女、2つの性別しかなかったのに、一世紀ほど前に、α、β、Ωという性別が発見された。  ほとんどの人類がβで、普通の生活を送れる。  αの遺伝子を持つものは優秀で、頭脳明晰なのは当然で、容姿も秀麗、身体能力も平均を遥かに超える者が多い。  そのためみんな12歳のときに、性別判断をすることを政府は義務付けた。  因みに、Ωはなんの力もない。それならβと同じなのに、Ωには発情期というものがあるのだ。  その期間に入ると、優秀なαを強く引き寄せるフェロモンを発する。そして、ただαを求め種を残そうとすること以外、何も考えられなくなるらしい。  そして、番、つまりは遺伝子がマッチするアルファとオメガの間には、アルファが生まれる確率が格段に高いらしい。  そのため、アルファは番のオメガを探す。 別に番でなくても子供は出来るらしいが、アルファの生まれる確率はかなり低く、さらにオメガが子を孕むこと自体、確率が下がるらしい。  つくづく、使えない種だと思う。  けれど、『番』から生まれる子供のアルファ率が、格段に高くなるという都市伝説に、世界のアルファは踊らされ、こんな闇ミオークションに需要があるのだと、あたしの鎖を引くディーラーに教えたもらった。
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