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「そう、もう第二次性徴を過ぎてるのに、彼女には女性らしい変化が乏しい。というか、痩せ過ぎだ。アバラなんて浮いて見える。肌は乙女らしくなくカサカサ、爪はカルシウム不足でボロボロ、まるでおばあさんのような手だよ」
「……」
それは俺も思った。軽すぎる体も、バサバサの髪も、どう考えても栄養失調だ。
「そして、お腹や背中、臀部にかけて痣が多数。明らかに虐待を受けてきた形跡がある」
「……そうか」
そして、それは虐待だけではなく、性的暴行もあったのだろう。悲鳴のような彼女の叫びが、今も耳から離れない。
「結論から言うとね、然るべき施設に預けるべきだと思う」
「だな」
それが当然だろう。
「でも、それをすれば彼女は間違いなく死を選ぶ」
「……」
「あとは考えなよ、竜生」
「見捨てるのか?」
「あ、これ痛み止め。なんか食べさせてから飲ませて。そうそう、お化粧は落としてあげてね。お肌がもっと荒れちゃう。ホテルのアメニティにあったでしょ?」
「はあ? なんでそこまで」
「そんじゃ、僕の病院なら裏口からおいで」
そう言うと、悠人はニコリと笑って「ごちそうさま」と部屋から出ていった。
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