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ため息を一つ落として、ベッドルームに足を運ぶ。
俺が寝るはずだったベッドに横たわるのは、オメガの彼女。点滴もちゃんとなされて、彼女は小さな寝息を立ててる。
「化粧ねぇ」
仕方なく、悠人の言うとおりに彼女の顔をパフでそっと撫でた。
化粧を落とすと、彼女はさらに幼く見える。この年で、一体どんな目にあってきたのか。
あいつの言うとおり、彼女は施設に送るのが一番だが、そうすれば彼女は自殺を遂行するかもしれない。そうなったところで、俺の良心が痛むわけでも何でもないんだが、虐待の痕はいただけない。
闇オークションで買った、なんて経緯からも俺が疑われてもおかしくないだろう。
「サイアク……」
そう呟いて、俺はリビングのソファに寝ることを決意した。
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