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そう言うと、今度はひどく悲しそうな目をして、俺から目を逸らした。
そうか、ああして売られてたってことは、親に売られたってことだよな。若しくは親を失くして孤児になったとか……、どっちにしても親がマトモならこんなことにはなってないわけで……。
本名を知られたら返されると思ってるか、それとも他にも事情があるのか、俺には分からないし、知りたくもない。
「あー、悪かった。なら、俺が付けてもいいか?」
「……?」
だからそういうと、彼女は不思議そうに俺を見上げる。仕草がまるで猫だ。
「そうだな、ミイとかどうだ?」
「……」
「……」
「……」
しまった。あからさまにネコっぽかったか?
「あー、嫌なら──」
「みい……?」
「……」
なんだ? 気に入ったのか?
「ミイ、ミイでいい、です……」
彼女はそう言って、俺に頭を下げた。
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