218人が本棚に入れています
本棚に追加
「オメガ、お前も、今度の相手が番だといいな?」
「……」
そんなの、どうでもいいの。
ただ、死にたい。
Ωに生まれただけで、あたしはもう人ではない。こうして売られるのは、3回目。
番でないと分かると、簡単に捨てられた。
「お待たせいたしました、商品です」
開けられるドア、そこには高級ソファに座ってる若い男がいた。
αだ。
見ればわかる。綺麗な顔立ち、すらっとした肢体、何よりもむせ返る程の人を惹きつけてやまないフェロモン……。
だけど、違う。彼はあたしの番ではないと思う。
「こちらが商品です。あ、これ説明書、置いときますね。そんじゃ、もう返品は出来ませんので」
彼もそれに同じように感じたんだと思う。一つ舌打ちして、ひどく嫌そうな顔でこちらを見た。
「何度も念押しするな、ウザい」
ベータであるディーラーは、あたしほのフェロモンの影響を受けないのか、もう耐性が付いてるのか、ニヘラと愛想笑いをする。
「それでは、またのご利用を」
「二度と使わん。反吐が出る」
嫌悪感も顕に彼がそう言うけど、ディーラーは気にすることなく「失礼いたします」と頭を下げて出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!