闇オークション

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「オメガ、お前も、今度の相手が番だといいな?」 「……」  そんなの、どうでもいいの。  ただ、死にたい。  Ωに生まれただけで、あたしはもう人ではない。こうして売られるのは、3回目。 番でないと分かると、簡単に捨てられた。 「お待たせいたしました、商品です」  開けられるドア、そこには高級ソファに座ってる若い男がいた。  αだ。  見ればわかる。綺麗な顔立ち、すらっとした肢体、何よりもむせ返る程の人を惹きつけてやまないフェロモン……。  だけど、違う。彼はあたしの番ではないと思う。 「こちらが商品です。あ、これ説明書、置いときますね。そんじゃ、もう返品は出来ませんので」  彼もそれに同じように感じたんだと思う。一つ舌打ちして、ひどく嫌そうな顔でこちらを見た。 「何度も念押しするな、ウザい」  ベータであるディーラーは、あたしほのフェロモンの影響を受けないのか、もう耐性が付いてるのか、ニヘラと愛想笑いをする。 「それでは、またのご利用を」 「二度と使わん。反吐が出る」  嫌悪感も顕に彼がそう言うけど、ディーラーは気にすることなく「失礼いたします」と頭を下げて出ていった。
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