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「あ、あのっ、ご主人様!?」
「……その呼び方は辞めろ」
「……」
なら何と呼べばいいのだろう。
「で、なんだ?」
「……あ、歩けます、から、その」
「靴がないのは俺の手配ミスだ。気にするな」
別に裸足でもいいのに。
こうして彼に抱っこされてるのは、正直居心地が悪い、というかアルファのフェロモンで引き寄せられて悪くないんだけど、やっぱり悪い。
間近で見る、新しいご主人様(アルファ)は、今まで会ってきた中でも特に顔立ちが綺麗だ。
しかも優しい 。でも今までのご主人様の最初は優しかった。今だけかもしれない、いつかあたしを絶望の底に落として、この綺麗な顔で笑うのかもしれない。
「っつか、なんて説明すりゃいいんだ?」
車に乗るなり、ご主人様はハンドルに持たれてため息をついた。
今度のご主人様は、自分で車を運転するらしい。 今までのご主人様はお手伝いさんに運転手さん、いろんな人がいたのに、彼の側で見たのはあの医者だと名乗る人だけだった。
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